2015年1月25日日曜日

イーヴ・ガーネット『ふくろ小路一番地』

イギリスの田舎町、とはいっても美しいヒースの丘が連なる、といったイメージでは語られていない、ちょっとごちゃごちゃした田舎町にいるラッグルス一家の物語『ふくろ小路一番地』は1937年に書かれ、その年の最優秀児童文学書に選ばれています。

訳者の石井桃子さんのあとがきによると、それまであった児童文学の、魔法使いが出てくる話や上流階級の裕福な子どもの話ではなく、とりあげられていなかった階級の家族のよろこびや悲しみが描かれている作品ということです。1937年という年を考えるとヨーロッパに暗雲が立ち込めていた頃と思われますが、作品は働き者の両親と子ども10人の痛快な話に終始しています。

ちょっと落語を思わせるようなテンポのよさと、愛すべき登場人物のくっきりと浮き上がる様に引き込まれます。

チョコレート

思いがけない符号、一致の到来に気づき、小さな雷が落ちることがときどきある。偶然、という名前をつけたくはなく、驚きもしつつ、そう来ましたか、と受けとめて、でもその意味付けはまったくわからない。自分のコアな部分にかかわることもしばしばである。

例えば先日の話。せっけんシャンプーを使用する自然派美容室で、初めての美容師さんと話をしていて、オーガニックカフェや野菜ご飯のお店の話をしていると、そうそう、アラスカって行ったことあります?と聞かれる。軽く固まっている私を置いて、美容師さんは、どこどこにあっていいカフェなんですよねー、あ、そうそうその近くにも別のカフェがあってーとなめらかに話し続ける。ようやく体勢を立て直し、土地としての、アラスカであれば、と小さな声で、やって来た何かに応えた。

急に香港に行くことになった。想像もしなかった初めての場所である。香港在住の友人に連絡を取る。宿泊の手配は香港の人がしてくれて、そのホテルの名前を友人にメールで告げると、軽く興奮したメールが帰ってきた。そのホテルは最近できた新しいホテルで、昨年末に友人が一時帰国した際のお土産の、イタリアのメーカーのチョコレートはそこで買ったものということである。また小さく雷が落ちた。なんとなくそのチョコレートが入っていた小さな缶のデザインが気になって、手元に置いておいたのだ。そう、キミが呼んだの、とその缶のピエロか何かに応じてみた。相変わらずこの符号は不明のまま旅が済むのか、それともいつか意味がわかるのだろうか。