2014年10月26日日曜日

カニグズバーグ『魔女ジェニファとわたし』

カニグズバーグ『魔女ジェニファとわたし』に、ハローウィンのお祭りで子どもたちが近所の家にお菓子をもらいに行く場面が描かれています。主人公の新しいお友達ジェニファによるこの「ハローウィンのおふせまわり」はかなり傑作で、転校してきてから友達のできなかった主人公の前にあらわれた変わった子・ジェニファとの間に起こる、ふたりの内緒で特別な日々を予感させてくれます。

子どもの本というのは旬の読み時期というのがあるようですが、たしかにこの本を登場人物と同じころに読んだ子どもたちは幸せだろうなあ、と少々うらやましく思います。友人としか通じない言葉やルールやぜったいの約束、ストレートな気持ちとの葛藤など、『魔女ジェニファとわたし』を読んでここに”わたし”がいる!と夢中になり、それは結局その子にとって救いになった子どもたちがアメリカや日本にたくさんいたはずです。




きのこへの道

「なぜ山に登るのか―そこに山があるから。」の言葉は、山登りをする人もなぜわざわざ山登りをするのかまったくわからない人にもよく知られている。初めて山に来ましたという人から、山というのを実際上も精神上もフィールドとして生きている人みんながみな、この問いかけへの自分なりの言葉を持っているはずでそれはそれで聞いて回ったら面白いだろうなあと思う。でも山登りについてすべてを一言であらわす言葉というのも実は難しいような気もする。


さて。なぜ月山に登るのか、の答えは即答、頂上できのこたちが待っているから、である。
でもそんなにすんなりたどりつけなかったり、おもいがけない遭遇があったりする。同じ山、同じ道でも、一度として同じ山行というのはないのです。

帰りは志津温泉まで歩いたところ、途中のブナの原生林の偉大さに圧倒された。ちょっと特別な場所のような雰囲気で、ここはいつか新緑のころにまた来たいなと思いました。



 
2014 晩夏 月山