2013年8月31日土曜日

フィリパ・ピアス『真夜中のパーティー』

小学生のころの缶けり遊びの話。
神社の敷地内で、オニの子がひとり空き缶を踏んづけてまわりの様子をうかがっている。隠れている誰かの姿を見つけて名前を叫んで缶を踏めばその名の子はつかまるし、誰かがオニの隙を見て缶を蹴ればもう一度ゲームはやり直し、捕虜は解放されオニはオニのままだ。私はお堂の木枠に隠れ、オニの様子を見ながら息をひそめて缶を蹴りに飛び出すタイミングを計っている・・・その先、どうしたのか、私は名前を呼ばれてつかまったのか、見事缶を蹴り飛ばしたのか・・・記憶はないものの、そのときお堂の下で飛び出す瞬間を待っていた緊張感は覚えています。

子どもの視線で見える世界や心象について描いた児童文学作品は大人にとっても本当におすすめで、フィリパ・ピアスの『真夜中のパーティー』はイギリスの田舎を舞台にした、どこにでもいそうな子どもたちを主人公にした短編集です。

がらくたばかり集めている嫌われ者のお隣さんの話、夜中に目が覚めてしまって台所に行った話、都会に住むいとこが遊びに来て帰る話、体の不自由なおじいちゃんと無口な孫の話などなど、かいつまんで書くと平凡な話になってしまいますが、平凡な話の中にも小さなドラマがおきています。小さなドラマが人にとっていかに核になっているか、淡々した文体の中で子どもとかつて子どもだった大人の読者は一緒に生きることができる作品です。


ジジの家(千葉)

生きることは食べること・・・山形置賜の有機農法家の援農に初めて行ったのが約10年前。
少しずつ少しずつ、食と住環境の選択をシンプルにすることを志向して、それでも何か本質では転換できていないことに焦燥を覚えながら日々が過ぎてきました。そこへ今回の慈慈の家ふらり旅が舞い込んだわけです。

慈慈の家とブラウンズフィールドは千葉の外房にある、一言では説明しきれない場所で、畑や古民家宿やピザ釜やマクロビオティックカフェやハンモック(虹色)やツリーハウスやヤギがゆらりとしている、”おもしろそうだからやってみようか”がそのまま形になっている、いい風が吹き抜けているところです。
入り口も出口もわかりにくく、どこからどこまでが敷地なのかもあやしく、そしてその場所をどう楽しむかは入った人次第、というところでした。

今回のメインはオルチョサンニータというオリーブオイルを扱う朝倉さんのイタリア料理教室2日間。オイルの使い方から学びます。オイルを扱い出した当時は、「オリーブオイル?そんな地球の裏側から来るのなんてとんでもない。身土不二だっ!」と断られることもあったとのこと。そんなお話も聞きながら、トマト三昧の2日でした。もちろんお肉や砂糖や乳製品は一切なしです。

朝倉さんや慈慈の家オーナーの中島デコさんや料理教室の参加者の人たちと同じような意識を共有できる空間は居心地がいい、でも善悪二元論に陥らずになんとか昇華していけないものだろうか、世界を敵にまわさずに・・・別々のベクトルがあるというのはバランスを取るためにはいいのかもしれない、と梨木香歩さんも書いているし・・・などとつらつら考える旅でした。

慈慈の家

ピザ釜”アース・オーブン”