2012年4月22日日曜日

堀江謙一『太平洋ひとりぼっち』

好きなように生きるとはどういうことでしょうか。

自由に生きたいとずっと思ってきて、気がつけば、結構自由かもしれない、なりたいように人はなれるとようやく思えるようになったのは少し前でした。

先日、まだ雪深い東北の月山を旅しました。自然の中で自由に好きなように生きる人たちの生き様に直接触れられて、大きな歓びでした。

やりたいことをやるということが当たり前すぎで、そういう質問が後から追いかけてくるような人。

堀江謙一『太平洋ひとりぼっち』を思い出しました。ただただ、ヨットで太平洋を渡りたい。願うことはいたってシンプルで、どうしてそういう気持ちがわかってもらえないのかな?というのが逆に著者にとって不思議で仕方ない。

世間の尺度に合わせて言語化することなど不可能な、跳躍した自由人たちの思考を知るには、とても貴重な本だと思います。

私が持っているのは古本屋の100円コーナーで見つけた1962年刊行のポケット文春です。手に取るとボロボロで虫がいそうだなと迷いながらパラパラめくったところ、著者のサインを発見し静かに驚喜しました。

2012年4月18日水曜日

黒味岳(屋久島)

シーズンはずれの尾瀬によく行っていた時期がありました。
前も後ろも誰もいない、霧がかかる湿原の中の木道を、ひたすら歩くことを好んで何度か通いました。
少し足を伸ばして、北海道の釧路湿原へ。
釧路湿原で出会った人に、屋久島というところに高層湿原がある、と聞いてその高層湿原にあこがれを抱いたのが屋久島病のはじまりです。

2011年は初めて島に行ってから10年の年です。2001年に一緒に行った友人とまた島へ。
淀川小屋に泊まってゆるゆると高層湿原の花之河を経て黒味岳(1,831m)の行程を満喫しました。

2011年秋 花之河と黒味岳



















左から 永田岳 宮之浦岳 翁岳 黒味岳山頂から























友人と、また10年後、20年後・・・の来島について話をしました。
さああと何回一緒に来れるだろう。

















2012年4月10日火曜日

プロイスラー『クラバート』

宮崎駿監督「ハウルの動く城」を見ていたとき、ハウルが大ガラスになって飛び回る場面で、あれ、これはクラバート・・・と思うことがありました。
『クラバート』は「大どろぼうホッツェンプロッツシリーズ」を書いたドイツのプロイスラーの作品です。

本屋さんの『クラバート』の帯で宮崎監督がおすすめしていたのを後で見かけて納得しました。

 舞台は今のドイツとチェコにまたがる湿地帯で、ゲルマン系のドイツ人のほかに少数民族のスラブ人であるヴェンド人が暮らしている地域です。
独自の民俗習慣を持ち続け、多く残された伝承民話から著者のプロイスラーが構想を得て書き上げたのが『クラバート』でした。

魔法使いの親方が支配する粉ひき小屋で、粉ひきの職人の修行をし、魔法を教わる12人の少年たちの物語。主人公のクラバートは魔法に魅了されながらも、親方と対決することを次第に決心してしていく。はたして親方の魔法に打ち勝つには、どのような魔法が必要なのか。

湿地帯の緑や雪の季節と、節目節目の祭りや行事とが重なっている情景がしっかりしていることで、作品が生かされているということを読み返して気づきました。






2012年4月1日日曜日

ハクトウワシ

ハクトウワシをはじめてそれと認識したのは、南東アラスカのジュノーの入り江を歩いていたときで、カモメたちがギャーギャーさわいで一斉に飛び立ち、何事かと思いきや、ハクトウワシが飛んできたのでした。

目が慣れてくるとよく気がつくもので、アメリカ本土ではほぼ絶滅されているといわれているハクトウワシも、南東アラスカではよく見かけました。街灯などにもずーっと長い間止まっている。彼(彼女)にもお気に入りというのがあるに違いないと思うとうれしい。


















はじめてハクトウワシの鳴き声を認識したときは、その猛々しい風貌からは想像のつかないような、フルートの高音部をさらに響かせたような音色に一瞬でとりこになりました。

ハクトウワシに会いに行くことは、アラスカに通う理由のひとつです。
ハクトウワシの巣は幾世代にも渡って使われるため、かなり巨大になるというのをジュノーにある博物館の展示で知りました。その巣を支える木もさぞかし大木でしょう。いつかどこかで現役の巣を見てみたいなと思っています。